第6回 アオキグループの経営理念 我々が共有する価値観(5) 「誠実」
代表取締役 青木 正紀
アオキグループが「我々が共有する価値観」としているものは、次の5つです。
・信用 すべての関係者に感謝し、信頼される仕事をする。
・誠実 お客様の立場で考え、真心をつくす。
・挑戦 向上心と情熱をもち、進化し続ける。
・協働 理念を共有する同志として、協力し助け合う。
・堅実 利益を最大化させ、公正に還元する。
前回は「信用」を取り上げましたが、今回は「誠実」についてお話しします。
お客様の立場になって考えるということは、自分がどのように対応すればお客様のお役に立ち、満足していただけるかを真剣に考えることです。
そしてそれは、その場限りの対応ではなく、長くお付き合いしていただけるように、お客様の業績を高めるにはどうしたらいいのか、また、困りごとを解決して差し上げるにはどんな方法があるのかを考え抜くことです。
2代目の治郎吉の時代は、石岡周辺では貧しい農家が多く、それを目にしていた治郎吉はどうすれば農家の暮らしを豊かにできるかを考えていました。
そしてガラスと木枠で温室を作って、促成キュウリの栽培方法まで教え、高値でキュウリが売れるようにしたのでした。
そうして農家を豊かにしたことも「お客様の立場で考え、真心を尽くす」という一例だと言えます。
そのような姿勢(仕事への考え方)は、お客様だけに向けられるものではありません。
「次工程はお客様」という言葉がありますが、仕事というのは、自分が行う仕事だけで完結するのではなく必ず、次の工程があります。自分が行うこの仕事は、次の社員に継がれ、さらに次の社員に回っていく。そうやって、何人もの手を経て仕事は完結します。
その時に、次の人が困らないように丁寧に怠りなく自分の仕事を仕上げていく姿勢が大切です。その際に、その人を大切なお客様だと思えば、真心をもって仕事をやり遂げるようになります。そうした仕事の総和がアオキに対するお客様の評価や業績につながっていきます。
その対象は、顧客だけではなく、メーカーさんや協力業者さん、あるいは地域の人びとです。私たちが関係するすべての人がお客様という意識をもてば、真心をもって接することになるはずです。
そうやって「誠実」に仕事を重ねていくことで「信用」が築けるのだと思います。
ただ、仕事にトラブルというか、アクシデントはつきものです。私自身、何度も経験しています。
例えば、「納期は1週間です」とお客様に伝えたのに、何かの不都合があって10日かかってしまうということがありました。約束が果たせなくなって、その結果、お客様にご迷惑をかけてしまう、あるいは怒られるかもしれない、取引を中止されることだって考えられる。そう思うと、本当につらくなります。逃げ出したくもなります。
しかし、その時に大事なことは、逃げないということです。とにかく、真正面から向き合って、自分のできることを全力でやり遂げる、つまり「誠実」に取り組むということに尽きると思います。
そして、もう一つ大事なことですが、「真心を尽くす」とは、何でも相手の主張を100%受け入れることではありません。
相手の方にとって、本当にお役に立つことであれば、時には痛みを伴うことも提案することも必要です。これは、勇気のいることですが、真心をもって誠実に接すればご理解していただけるはずです。
そのことによって、本当の「信用」が得られるのだと思います。
「誠実」と「信用」というのは、表裏一体、コインの表と裏の関係のように、切り離せないものです。
アオキの先人たちが築き上げた「誠実」そして「信用」は、アオキの大きな財産です。
130年を迎えた今、これからも磨きをかけていきたいと思っています。