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第8回 我々が共有する価値観(7) 「協働」

代表取締役 青木 正紀

「我々が共有する価値観」に「協働」を加えたのは、私自身の体験の中で痛切に感じたことが発端です。

修業先から青木硝子に戻った時に気づいたことの一つは、明確な経営(販売)計画というものがなかったことでした。
当時の売上は13億円を超え、そこそこの利益も出ていました。規模は小さいですが、石岡という地域では名の知れている良い会社であり、社員もそれなりの自負を持って働いていました。

でも、私の目から見ると、そこに安住してしまい、緊張感がないというか、仕事で成果を上げようが上げまいが気にするような雰囲気はありませんでした。
当社の決算月は9月なのですが、決算数字を見て、「お、売上が増えた」といったのんびりした仕事ぶりでした。そうした仕事に対する社員の姿勢には、何か物足りなさを感じました。

また、当時の営業スタイルはというと、配送がメインで売り込みはほとんどしていませんでした。修業先では、営業は専任制をとっており、1人当たりの売上も青木硝子とは大きな差がありました。これではこの先、どこかで壁にぶつかるのではないかと危機感を持ったのです。

その中で、1人だけ配送をしながらも御用聞きのような営業をしていましたので、まずはその人と、「どんな商品をどれだけ、どこに売っていこう」という、販売戦術のようなものを立ててみました。
これを他の社員にも進めようと、当時の社長だった父親に相談したら、「それはいいことだからやってくれ」と背中を押してくれました。
それで、担当者一人ひとりに売上や利益の計画(目標)を持たせたのです。

やり始めたのはいいのですが、社員も戸惑っていました。それまでは、お客さんからいただいた注文をトラックで運ぶだけだったのに、計画を達成するには、どんな方策を行うのかを考えなくてはならない。社員たちは「面倒くさい。そのうち、諦めるだろう」と思っていたと想像します。それでも、これからの青木硝子にとって、やらなければならないことだからと、続けていきました。

すると、徐々にではありますが定着していったのです。しかし、計画を持つということは、達成する人と達成しない人が出てきます。達成すれば表彰され、評価も良くなります。ここで、大きな問題が出てきました。

私自身もそうだったのですが、計画を達成したのは自分の力だと過信してしまい、自分の数字が最優先になって、人のことは知らんぷりといった風潮が現れ始めたのです。
例えば、「自分の目標は既に達成した、売上に計上できる物件は持っているけど、来月は楽をするために物件を蓄えておこう」という人も出てきました。
こうなると、個人主義がはびこり、組織としての力が発揮できなくなり、会社全体としてのパワーは低下するし、雰囲気も悪くなってきます。

この前も書きましたが、私が業績を上げることができたのは、私ひとりの力ではない、受発注業務の人、配送の人、現場施工の人、商品をつくるメーカーさん、色々な人たちのバックアップがあって初めて、成り立つのです。

そこで、一人一人計画は持っているけれども、それは個人だけが責任を負うのではなく、皆で助け合って皆が達成できるようにしよう、つまり、協力して働くことで、一つの仕事の成果になるという社風にしたいと思いました。そして、「協働」という言葉が頭に浮かんだのです。

協働するには、社員が同じ考え方(価値観)を持ち、同じ方向を向かなければなりません。つまり、「理念を共有する同志」であることが必要です。

ただし、「協働」は社内だけに限ったことではありません。社外の協力者には、メーカーさんもいて、販売店さん、工務店さん、協力業者さんもいます。言うまでもなく、こうした人たちの力を借りない限り、業績を上げることができません。「協働」というのは、仕事で関わる全ての人たちと行うものだということです。

私たちアオキグループは、理念を共有し、同志として協力し合うことで成果を上げ、そうやって、会社が良くなれば社員も幸せになる。そして仕事で関わる多くの人たちも幸せになる。そこを目指して進み続けていきたいと思います。