第11回 変革と成長
代表取締役 青木 正紀
●創業130周年を新たなスタートに
アオキは、今年創業130周年を迎えました。100年生き残る会社は3000社に1社に満たないということです。それを考えると、当社が130年もの間経営を続けてこられたのは、様々な幸運に恵まれたのだと思います。
これもひとえに、お得意様、取引メーカー様、地域社会のご支援と、そして社員の尽力の賜物と感謝しております。皆様には改めて心より御礼申し上げます。
この「130周年」は、到達点ではなく、一つの通過点に過ぎません。私たちは、次の10年、20年、さらにその先に向かって、新たなスタートを切っております。
皆様には、これからもより一層のご支援をいただければ幸いです。今後もお引き立てのほど、よろしくお願いいたします。
●アオキの歴史は「変革の歴史」
このコラムでも書いておりますが、アオキの歴史は「変革の歴史」と言っても過言ではありません。
創業者の青木治郎吉が1895(明治28)年に、この石岡の地で青木商店の暖簾を掲げ、ランプや輸入雑貨を商うようになりました。その後、板ガラス、アルミサッシ、住宅建材全般と商材を広げ、アルミサッシの加工や複層ガラスの製造、さらに10年ほど前から、不動産事業など、経営の多角化を進めてきました。
もし、創業者が始めたランプの販売に固執していたとしたら、現在のアオキは消滅していることは間違いありません。時代に合わせて、事業の形態を変えていくことは、経営の鉄則なのだと、改めて感じております。
●茨城地域における日本酒業界
かつて、日本ではお酒と言えば日本酒でした。しかし、今は日本酒を飲む人が減って、メーカーがどんどん減っています。石岡にも昔はいくつもの酒造会社がありました。最後まで残っていたのがI酒造さんでしたが、2022年に倒産し、昔から続く酒造会社は消滅してしまいました。
そのI酒造さんをM&Aで傘下に収めたのは、那珂市の木内酒造さんです。木内酒造さんは1823(文政6)年の創業で、200年たった今でも酒造りを続けておられます。ただし、日本酒だけに固執してはいません。
ビール事業に進出し、ビールの製造に留まらず、東京都内を中心に7か所でビアレストランを展開しています。このビールは、アメリカでも大人気だそうです。さらに、石岡市の八郷に醸造所を作り、「日の丸ウイスキー」や「日の丸ジン」を製造しています。この醸造所ではバスツアーを企画し、人気を集めています。工場見学の後、付設されたバーやレストランでお酒を飲んでもらい、食事を楽しんでいただく。そして、いい気持になったところで、お土産の酒をたくさん買ってもらうという仕掛けです。
変革し続けた木内酒造さんと日本酒一本で事業を続けようとしたI酒造さん。明暗が分かれたのは、商品戦略と販売戦略に大きな違いがあったのです。時代に合わせて、変革を遂げていかなければ、企業は衰退してしまうことを地域の酒造業界が教えてくれます。
●変革しなければ成長を手に入れることはできない
酒造業界のような事例は、我々の建材流通業界でも起こっています。ガラス販売に固執し続けた同業者の中には、大資本の傘下に入ったり、また多く会社が廃業・倒産しました。最近でもM&Aによって、歴史にピリオドを打った大手の代理店は複数あり、その傾向は続いていくものと思われます。
時代の変化というものは、何もしなければ「危機」につながります。しかし、危機感と勇気を持って変革すれば、「機会」に変え成長を手にすることができます。
アオキは、これからも変革を成長の推進力ととらえ、挑戦し続けていきたいと考えております。