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第12回 アオキのM&Aについて

代表取締役 青木 正紀

M&Aとは、「Mergers(合併)」と「Acquisitions(買収)」の頭文字を組み合わせた言葉です。アオキも数々の会社にM&Aによってグループ入りしてもらいました。
年代順に挙げると、
2007年 ホームサッシ販売㈱茨城支店が合併し、つくばみらい営業所として発足。
2011年 上野硝子工業㈱茨城支店が水戸支店に合併。
2017年 ㈱バウハウスに資本参加。
2021年 サンケイ建装㈱が合併し、栃木県初の事業所として栃木支店が発足。
2021年 フレクサラムジャパン㈱が合併し、アルミルーバーの製造・販売事業を展開。
2022年 光商建材㈱が水戸支店に合併し、ビルサッシ・ガラス工事の受注力の向上。
2022年 諏訪ビルサッシ工業㈱がグループ入りし、ビルサッシ加工の拠点として稼働。

こうして7社に仲間入りしてもらい、現在では、アオキグループ全社員160余名のうち、約60名が新たにグループに加わった社員たちです。

企業買収と聞くと、多くの人は会社を拡大するために自ら働きかけ、目的の会社を買収するというイメージを持つかもしれません。しかし、アオキがこれまで行ってきたM&Aは、そうした能動的な手法ではありません。後継者の不在や企業としての存続が困難になったことから、他社への経営委譲を望み、金融機関などに相談した結果、アオキに打診があったケースがほとんどです。

オーナーさんも決して軽い気持ちで経営から身を引いたわけではありません。アオキに託すことで社員やその家族の生活を守り、取引先も安心して取引を継続できます。そうした決断に至るまでには、多くの葛藤と苦慮があったはずです。その気持ちは、私も経営者であるだけに痛いほど分かります。

M&Aに際しては、詳細な資産評価(デューデリジェンス)が行われますが、その中心は動産や不動産です。従業員の状況や人事制度も評価対象ではありますが、社員の能力や経験値といった、企業にとって極めて重要でありながら数値化しにくい要素はほとんど加味されません。しかし、買収後に成果を左右するのは、実は社員の働きぶりです。

これまでアオキの仲間となった企業の社員の皆さんは、十分に期待に応えてくれていると感じます。それは創業以来、誠実な仕事を重ね、信用を築き、地域に貢献してきた企業風土があったからです。この点はアオキの経営理念とも共通します。

もっとも、過去のM&Aすべてで価値観を完全に共有できたわけではありません。アオキの企業文化に馴染めなかった人や、従来のやり方を変えられなかった人もいました。価値観や人生観の根幹に関わる部分には踏み込めないことを、最初のM&Aで痛感しました。

価値観は容易には変わりません。長年、自分流で成果を上げてきた人ほどその傾向が強いです。しかし、変わらなければならない時があります。結果が悪ければ、変わらざるを得ないのです。やり方を変えることは自己否定ではありません。しかし、混同してしまう人もいます。また、中には経営悪化の責任を痛感し、退任したリーダーもいました。やむを得ず同志になれなかった人が一定数いたのも事実です。

誰もが「会社を良くしたい」「自分を高めたい」「仲間と協働し風通しの良い職場で働きたい」「物心共に豊かになりたい」という思いを持っています。
その姿勢があれば、多少の違いはあっても目標は共有できます。共通の目的に向かい力を合わせて邁進すれば、高い目標も達成可能です。今日のアオキグループは、そうした思いを共有する同志が一体となって歩んでいます。

また、オーナーさんの中には経営状況をオープンにしない会社もありました。厳しい内情を知られれば社員が不安になると考えたり、会社を私有物のように扱い、数字の公開を拒む場合もありました。これは私としては非常に理解に苦しみました。同志であるなら秘密にする必要はありません。

アオキは「経営の見える化」を行っています。公開項目は売上高・販売粗利・経費・営業利益の4つに絞っています。現場がコントロールできるのはこの4つだからです。資本金や借入金、不動産などのバランスシート項目は経営者の責任で運用すべきものであり、現場の管理範囲ではありません。こうして現場には売上向上・利益率改善・経費管理・営業利益増加に集中してもらいたいと考えています。これは「堅実=利益を最大化させ、公正に還元する」というアオキの価値観につながります。

アオキは今後もご縁があればM&Aを進めていきます。
それはアオキの成長だけが目的ではなく、一緒になった会社と社員が物心両面で豊かになり、世のため人のために役立つ会社として存続するためです。そして、世のため人のためにお役に立てる会社として存続し続けていきたいと強く思っております。