第21回 リアリティー・ショック
米国の組織心理学者、E・C・ヒューズは、「リアリティー・ショック」という概念を提唱しました。
これは、「組織に実際に所属する前の自分の期待と、現実に経験したこととのギャップから受けるショック」を指します。現実に経験することには、仕事の内容だけでなく、職場の人間関係も含まれます。
リアリティー・ショックは特に「組織の上司や同僚との関係性」から生じると、ヒューズは指摘しています。
えてして、人が思い描く理想というのは、様々な障害や問題を想定しないものです。したがって、そうした障害に対した時には、次善の策を考えずに心理的葛藤やパニックに陥ってしまいます。経験の少ない者がよく陥ることです。
このリアリティー・ショックは、どうやって克服すればよいのでしょうか。それには、自分の置かれる状況の中で、想定される事態を想定し、それに対する心の準備をしておくことです。
たとえば、ある段階に到達したとします。その次は、自分の思っていた通りに進むのか、あるいは思惑と逆のことが起きるのか、その2パターンを想定します。そしてYesであれば次のステップに進み、Noであればそれをどうやって克服するのかを、あらかじめストーリーをつくっておくのです。
こうすることによって、パニックに陥らずに冷静に対処できるのです。