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第16回 ディドロ効果

「ディドロ効果」とは、18世紀のフランスの作家であり思想家であるデゥニ・ディドロが唱えた、消費行動にまつわる心理的効果のことです。

ディドロはある日、友人から見事な光沢をもつ緋色のガウンをプレゼントされ、大変喜びました。しかし、その一方で、それを着て過ごす自分の書斎がマッチしていないことが大層気になったのです。そこで、ガウンにふさわしい高価で新しい調度品を一つ二つと揃えていきました。その結果、書斎はかえって居心地悪くなってしまったといいます。

このように、生活の中にそれまでとは違う「レベル」「雰囲気」「イメージ」「ニュアンス」を有する物がもたらされた際、既にあるものを捨て、新たにマッチする物品を購入するという行動は、よくみられるものです。

たとえば、車を買えばそれを運転する自分の姿を想像し、その車を運転するに相応しい洋服や髪型、内装などに気持ちが向かうものです。
また、憧れていた時計やバックを買うと、一点豪華主義を貫ける人は少なく、買ったものにマッチする靴や洋服が欲しくなることがあります。

企業の中には、こうした連鎖的な消費・浪費を繰り返させるマーケティングを展開しているところがあります。ネット通販のアマゾンは、その典型例と言えるでしょう。
同社は、消費者がウェブでチェックした商品をすぐさまデータ処理し、次回閲覧した際に「最近チェックした商品」や「チェックした商品の関連商品」として紹介し、購買意欲をあおっています。

消費者の購買心理を巧みに利用することも、ビジネスにおいて効果を上げる科学的な方法ですね。