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第19回 人はなぜ宝くじを買うのか「リスク認知のゆがみ」とは

ジャンボ宝くじに当たる確率は1000万分の1。それなのに、なぜ人は宝くじを買い求めるのでしょうか。
人が牛肉を食べてBSE(牛海綿状脳症)にかかる確率はイギリスで500万分の1。日本での発病確率は、48億8400万分の1だそうです。それなのになぜ、人はBSEに大騒ぎしたのでしょうか。
発生率は非常に低いのに、飛行機事故を極端に怖がる人もいます。

これらは、「人のリスク認知のゆがみ」がそういった行動に駆り立てるのです。

「人のリスク認知のゆがみ」とは、人間が現実の危険(リスク)を正確に判断できず、主観的に誤って評価してしまう傾向を指します。これは心理学や行動経済学の分野で広く研究されており、人間の認知バイアスの一種です。

●「認知のゆがみ」の主な原因は
・印象に残る情報(ニュース、事故映像など)をリスクが高いと錯覚する
・怖い、嫌悪といった恐ろしいイメージが実際より危険に感じる
・自分だけは大丈夫、悪いことは起きないと信じがち
・数字での説明よりも、エピソード(体験談)に影響されやすい

●「認知のゆがみ」を防ぐための主な注意点は
①感情に引っ張られず、「どれくらいの確率で起きるのか?」を冷静に見る
②単発の事故や事件ではなく、全体としての確率やデータを見る
③「自分は大丈夫」という楽観バイアスや、「これは危険だ」という過大評価を意識的に点検する
④一つのニュースやSNSの情報に頼らず、複数の信頼できる情報源を比較する

リスクの感じ方は人それぞれ。自分の基準だけで判断せず、他人の立場や意見も参考にすることが大切です。