第23回 なぜ子供は親の言うことを聞かないのか
親が子供に「はい、今月のお小遣い。あと、どんなに必要になっても追加のお小遣いはあげないからね」と言って、子供に節約させようとします。
しかし、それでも子供は小遣いを使いきってしまいます。なぜでしょうか。
それは「あとからどうしても必要な出費があれば、結局は親が折れて小遣いを出す」と、子供に読まれているからなのです。
このように、ある時点で最適であったはずの戦略が、時間の経過とともに必ずしも最適ではなくなることが少なくはありません。
どんなに理想的な戦略でも、相手に先を読まれるため、思い通りには実現しないものです。こうした行動構造を「動学的不整合性」と言います。
物が売れなく景気が悪く、失業も増えている。こうした時、中央銀行は一般的に、世の中に出回るお金の量を増やしてインフレにし、景気をよくするという方策をとります。
ところが、この政策はやすやすと功を奏さないのです。それは、「景気がよくなって雇用が回復したら、中央銀行はインフレ政策を放棄する」と国民に先読みされるからです。
笛吹けど、なかなか国民は踊らないもの。経済を動かす要素の一つに「ひとの心理」があります。その心理を巧みにマーケティングに生かし、セブンイレブンを大きく成長させた鈴木文敏氏はこうした経済を「経済心理学」と呼びました。
企業の盛衰も、顧客の心理が読み取れるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。