第27回 2つの十訓
近江商人の教えである「三方よし」は、商売をする者で知らない者はいないほど有名な言葉ですが、近江には「商売十訓」があります。
●商売十訓
1.売る前のお世辞より売った後の奉仕
2.利益は社会に還元せよ
3.損得より善悪を先に考えよ
4.お得意先の繁盛が我が繁盛
5.店の利益より信用を重んじよ
6.正札を守り、駆け引きに頼らぬ
7.資本が少なければ知恵と工夫で補え
8.よい品を適正な価格で提供せよ
9.常に新しい情報と技術を学び続けよ
10.商売は世のため人のため、三方よし(売り手よし・買い手よし・世間よし)を旨とせよ
近江商人は「三方よし(売り手よし・買い手よし・世間よし)」を中心とし、利益追求だけでなく、信用・社会貢献・お客様の繁栄を重んじました。この理念は、時代を超えて、商人や企業の中に脈々と生き続けています。
そして、近年に至り、商業誌『商業界』を創刊した 倉本長治氏(1909–1984) は「サービス十訓」を提唱しました。これを紹介しましょう。
●サービス十訓
1.サービスとは相手が求めていることを察知して、進んで提供するものと知れ
2.気配り、目配り、体配りに一分のスキもないことがサービスの基本だ
3.秀吉の草履とりのように一生懸命を行動で示せ
4.自分の給料の何倍もの仕事を行って会社に貢献せよ
5.仕事は速く、安く、正しく、楽に、をモットーに質的に高い仕事を行え
6.100の仕事に対して110の力を入れて、確実・丁寧な仕事を行え
7.必要な時に必要な情報を提供できるために、情報収集に力を入れよ
8.満足される仕事を行うために、技能・技術力を高めよ
9.「苦しい時の彼頼み」いざという時頼りにされる人間たれ
10.自分が存在することによって、周囲の人々に喜ばれるサービス精神をもて