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第30回 結果から原因を推測する過ち

古いはなしですが、第二次世界大戦中のことです。
アメリカやイギリスなどの連合軍では、自軍の戦闘機スピットファイアがドイツ軍のメッサーシュミットにバタバタと撃墜されていました。
その原因を探ろうと、アメリカのある将軍が、命からがら帰還した機体のダメージを数多く調べました。

その結果、尾翼のダメージが特にひどいことを発見したのです。そして、アメリカに「スピットファイアの尾翼を強化せよ」と電報を打ちました。

しかし、アメリカ軍の幹部らはその電報を鵜呑みにせず、こう返事を送ったのです。

「尾翼にダメージを受けた戦闘機は一応帰還することができた。帰ってこなかった戦闘機は他の個所を撃たれたとすれば、強化するのは別の個所ではないのではないか」

この将軍の犯した過ちは、残った戦闘機だけを見て因果関係を仮定してしまったことです。

データ分析において、一つの現象をサンプルにしてしまうと大きな過ちにつながることがままあるという事例です。