読むサプリ
読むサプリ > 第37回 落語に学ぶ人生訓

第37回 落語に学ぶ人生訓

落語というのは、娯楽に留まらず、「教訓と教養の宝庫」という一面もあります。
その昔、教育を受けない庶民にとって、落語が知識や知恵の源になっていたでしょう。そんな落語の一節を紹介しましょう。

落語家三代目三遊亭金馬の「目黒のさんま」には、こんなマクラがあります。

「カタカナのトの字に一の字の引き様で、“上”になったり“下”になったり。
トの字の上に一を引くと下(しも)。下々の人は、棒から上のことを知りません。
下に一を引くと上(かみ)。上の人は下々のことをご存知ありません。
上は下々を知らず。下は上つ方(うえつがた)を知らず。ものは中(ちゅう)がいい。
中という字は、口の上下に棒が抜けている。上にも下にも口がきける」

また、酒を巡っては、失敗する御仁も多いと思います。そこで、酒にまつわる言葉を。
こちらも、三遊亭金馬師匠の「居酒屋」という噺の中からです。

「一杯で人、酒を飲む。二杯で酒、酒を飲む。三杯で酒、人を飲む」

ほどほどに飲むのはいいが、飲み過ぎは自己を失うことがあるということです。

「上戸(じょうご)の毒知らず。下戸(げこ)の病気(薬)知らず」

よく飲む人は酒が毒になることを知らずに飲みすぎ、逆に飲まない人は病気にかかりにくい(または薬になることを知らない)という意味です。

何事も、ほどほどがよろしいようで、、、。