第40回 ゴルディオスの結び目
紀元前4世紀に活躍したマケドニアのアレキサンダー大王が、ペルシア領のリュディアに遠征しました。その時、大王は神殿に戦車が祀ってあるのを目にしました。
戦車はかつての国王ゴルディオスによって神殿の支柱に固く結びつけてあり、当地には「この結び目を解いた者がアジアの王になる」といる伝説がありました。
腕に覚えのある多くの者どもが「我こそは!」と挑みましたが、頑強な結び目は誰にも解くことができませんでした。
その結び目を前にしたアレキサンダー大王はどうしたのでしょうか。
アレキサンダーは、結び目が固いと見るや、短剣をとりだして一刀両断に断ち切ってしまったのです。
そして、「運命とは、伝説によってもたらされるものではなく、自らの剣によって切り拓くものである」と宣言しました。
アレキサンダー大王のこの行為について、こう考える人もいるでしょう。
「ゴルディオスの結び日を断ち切るのは、手を使ってほどくからこそ意味があるのであって、剣で断ち切るのは間違っている。アレキサンダーは神託の意味を取り違えている」と。
しかし、アレキサンダー大王は、こうも言っています。
「私は伝説の力など必要としない、自らの剣によって運命を切り拓くのだ」と。
その後、アレキサンダーが中東から西アジアの全域までも支配する大王となったことは、長く歴史に残るところです。
