読むサプリ
読むサプリ > 第44回 「マクシミン原理」とは?

第44回 「マクシミン原理」とは?

「マクシミン原理」とは、「Max(最大)」と「Min(最小)」を組み合わせた言葉で、各案の中にある最悪の結果を比較し、その最悪値の中で最も良い案を選ぶという意味があります。

人は不確実な状況に置かれると、成功の確率よりも「もし最悪の展開になったらどうするか」を気にする傾向があります。例えば、食品の安全性に関するケースでは、「99%安全でも1%の危険がある」と聞けば、多くの人が購入を避けます。これは、リスクよりも不確実性に強く反応し、最悪のケースを基準に判断する典型的なマクシミン行動です。

職場においても、マネージャーは日々この原理に近い意思決定を迫られます。たとえば、「積極案」・「中庸案」・「消極案」の三案を比較するとき、マクシミン原理では各案の「最悪時の期待利益」に注目します。積極案の最悪値がマイナス3、中庸案がマイナス1、消極案がプラス2であれば、最悪時にプラスが残る消極案が選ばれるという流れです。
これは弱腰なのではなく、組織を守る立場にあるマネージャーほど自然に生まれる判断です。しかし、この傾向が強すぎると挑戦が減り、部署全体が「無難な選択に偏るチーム」になりやすいという問題があります。

また、経済学者フランク・ナイトは「確率計算ができるリスク」と、「計算根拠のない不確実性」を区別しました。マネージャーが日々対峙しているのは後者の不確実性であり、部下の反応、顧客の動き、新施策の成果などは数式では割り切れません。そのため、判断は常に不完全な情報の中で行われます。不確実性の中で働くマクシミン的な判断は、組織を守るためには有効ですが、同時に挑戦を妨げるブレーキにもなります。

判断には、最悪に備えるが必要な場面もあれば、一定のリスクを受け入れ、成長の機会を取りにいく判断が求められる場面もあります。
そこでは「いま自分は最悪基準で判断しているのか?」と自覚することで、意思決定の質を向上することができます。