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第47回 企業とCEOの評価(ハロー効果と結果バイアス)

成功した企業を体系的に検証して経営規範を導き出そうとするビジネス書は実に多い。
この種の本が発信するメッセージは、「よい経営手法は学ぶことができるし、それを学べばよい結果がついてくる」というものです。

しかし、多かれ少なかれ成功した企業同士の比較は、要するに、多かれ少なかれ運のよかった企業同士の比較にほかならないと、「ファスト&スロー」の著者ダニエル・カールマンは言います。
事実、「ビジョナリー・カンパニー」という書籍で取り上げられた卓越企業とぱっとしない企業はその後の調査で、収益性と株式リターンの格差が縮小し、ほとんど差がなくなっていました。
またフォーチュン誌の「最も賞賛される企業」にランクされた企業を25年にわたって追跡調査したところ、最下位あたりにランクされていた企業の株式リターンが最も賞賛された企業を上回っていたという報告もあります。

それでも私たち読者が成功企業を取り上げたビジネス書に傾倒するのはなぜでしょうか。
ある経営学者教授は、どのビジネス書もリーダーの個性や経営手法が業績におよぼす影響をつねに誇張しており、読者心理として「ハロー効果」や「結果バイアス」が働くためだと結論づけています。

「ハロー効果」とは、同じ人間の同じ行動であっても、物事がうまくいっているときに「凡庸だ」と酷評したり、まずくなったときに「それでも優秀だ」と評価したりすることに、抵抗を感じる心理の働きです。
しかもハロー効果が作用するとき、私たちはそこに因果関係を見つけようとします。すなわち、CEOの意志が強いからあの会社は卓越性が継続できたのだ、などと考えがちになるのです。こうして私たちは原因を見つけ、わかった気になってしまいます。
しかし実際には、私たちの「結果バイアス」が働いたために、会社が卓越した業績をあげたからこそ、CEOが優秀に見えてしまうのです。