第51回 天国と地獄の長いスプーン
ひとりの男が、天国と地獄について神様に尋ねました。
「この世にいる人間はみな、同じようなのに、どうして天国と地獄とに分かれてしまうのでしょうか?」
神様が男に言いました。
「こちらについて来るがよい。地獄を見せよう」
2人が最初に入った部屋には、人間たちが煮物の入った大きな鍋を囲んで座っていました。全員がひどくお腹を空かせ、生きる望みもすっかりなくしたように見えます。皆、スプーンを鍋に入れては煮物を口に運ぶのですが、スプーンの柄が腕より長くて口に届きません。その苦しみようといったら、それはひどいものでした。
「さあ、今度は天国を見せよう」。しばらくすると神様が言いました。
2人が次に入っていったのは、先ほどとまったく同じような部屋でした。煮物の入った鍋、そして柄の長いスプーンがあり、人間たちがいました。ところがこの部屋の人たちはお腹も十分に満たされ、その顔は幸せに輝いていたのです。
「どうしてなのでしょう?私にはわかりません」とその男は言いました。
「なぜここにいる人たちはこんなに幸せで、さっきの人たちはあんなに惨めなのでしょう?条件はまったく同じだというのに」
神様は微笑むと、「それはとても簡単なことだ」と言いました。
「ここにいる者たちは、お互いに食べさせ合うことを学んだのだ。ただ、それだけの違いなのだよ」
自己の欲求を満たすことだけに意を注いでいれば、幸せにはなれません。人間には、「共創」「共生」の姿勢がなければ、幸せな社会は築けないのです。
(出典:ジャック・キャンフイルド『こころのチキンスープ生きることは愛すること』)
