第52回 正しい楽観主義と能天気な楽観主義
楽観主義には、大きく分けて「正しい楽観主義」と「能天気な楽観主義」があります。両者は一見似ているように見えますが、行動や結果には大きな違いがあります。
「正しい楽観主義」とは、現実を直視したうえで希望を持つ考え方です。このタイプの人は、自分は成功できると信じていますが、そのためには努力や計画、粘り強さが欠かせないことを理解しています。成功は願うだけで得られるものではなく、自分の行動によって近づいていくものだと考えているのです。
一方、「能天気な楽観主義」は、非現実的な期待に支えられた考え方です。このタイプの人は、成功を妨げる障害をあまり深刻に考えず、前向きにさえ考えていれば物事はうまく進むと思いがちです。そのため、必要な努力や備えが不足しやすく、困難に直面したときに対応できないことがあります。
この違いを示す例として、心理学者ガブリエル・エッティンゲンが行った、ダイエット教室の参加者を対象とした研究があります。彼女は、参加者を「努力を続ければ目標を達成できる」と考えるグループと、「あまり無理をしなくても痩せられる」と考えるグループに分けました。その結果、前者の「正しい楽観主義者」は、後者よりも26ポンド、約11.8キロも多く減量しました。
さらに、「誘惑に打ち勝つには自己管理が必要だ」と考える人と、「そこまで無理をしなくてもよい」と考える人を比べた場合でも、自己管理の必要性を認識していた人の方が24ポンド、約10.9キロ多く減量しました。
エッティンゲンは、以上の観察から、次のように結論づけています。
「成功への道のりは険しいと考えたほうが、より大きな成功を収めることができます。なぜなら、行動を起こすことを強く意識するからです。自分は成功できると信じながら、同時に成功は容易にはやってこないと認識している人は、そうでない人よりも努力しますし、問題が起きる前にそれに対処する方法も考えます。さらに、困難に直面しても粘り強く立ち向かうことができるのです」
