第53回 記憶の定着は、学習より少し後に起こる「レミニセンス現象」
記憶について、こんな経験はありませんか。
・昨日まではうろ覚えだったのに、今日は何故かスラスラ思い出せる
・人の顔が浮かんだのが名前がなかなか思い出せない。でも、ある日突然思い出した
記憶というものは、時間とともに薄れていくものだと思われています。しかし、記憶した直後と記憶から一定時間経過した後とでは、後者の方が記憶をより想起できる場合があります。このような現象は「レミニセンス現象」と呼ばれます。
1913年、心理学者のP・B・バラード博士らは、小学生を使って次のような実験を行ないました。
子どもたちに3~4行の短い詩を記憶させます。その子どもたちを2つのグループに分け、1つのグループには、授業が終わった直後に復習させました。もう1つのグループには、翌日になってから復習させてみました。
そして、2つのグループが、それぞれ7日後にどれだけ覚えているかを比べたのです。
すると、翌日に復習したグループのほうが、よく覚えていたといいます。つまり、覚えた直後よりも、ある程度時間が経ってから復習したほうが記憶の定着率が高かったのです。
なぜレミニセンス現象が起こるのでしょうか。それは、一定時間の経過、特に睡眠や休憩により、
①「集中力の低下」や「飽き」など、記憶の想起を阻害する要素が減ってくる
②脳内で記憶が整理され、記憶を想起しやすい状態になる と言われています。
そしてこのレミニセンス現象は、運動のトレーニングや音楽のトレーニングなど、あらゆるトレーニングでの感覚の記憶についても共通するといいます。
ただし、繰り返すほどに効果はどんどん落ちてくるので、休憩が必要であり、無闇に詰め込むより、時間を置いて様子を見ながら練習するのが効率的なのです。
「地獄の特訓」という言葉に象徴されるように、日本人はとかく練習漬けにすることを好みます。それは、猛特訓に耐え抜いたという精神的な自信にはつながることもありますが、脳生理学的には必ずしも効果につながりません。脳にも「休息」が必要なのです。
