読むサプリ
読むサプリ > 第56回 私たちが陥りやすい「確証バイアス」とは

第56回 私たちが陥りやすい「確証バイアス」とは

私たちは誰でも、「自分の考えが正しいと確信したい」、「自分の考えを人に認められたい」という願いを持っています。また、自分が支持している考えや、世の中に広く受け入れられている考えなどを正しいという前提のもとで、物事を考えてしまう傾向があります。

例えば、次のようなことはないでしょうか。
・ふと手に取った本に、自分の考えと共通する記述を見つけると、「これは良い本だ。自分の考えは間違っていない」と満足してしまう。
・自分が「こうではないか」と考えていることを裏付けるような統計結果を見ると、それが偶然に得られたものであっても、必然であると考えてしまう。
こうした心の動きは「確証バイアス」と呼ばれます。

私たちが日ごろお世話になっている医師にも、「確証バイアス」が働くことが多くあります。医師には専門知識があり、経験もあります。患者を診断する場合、ほとんどの医師はこれまでの経験をもとに診断結果を下します。そして、その診断が正しいという前提で治療を進めます。しかし、それが絶対に正しい診断なのでしょうか。

2005年にアメリカのピッツバーグ大学で、医療関係者に対しある実験が行われました。72人の内科医を被験者として、さまざまな病気に関するリポートを見せて、診断をさせました。その際、自分の診断に対して自信があるかどうかも尋ね、医師の診断に対する自信と、診断の正確性との関連が調べられました。その結果はどうだったのでしょうか。

11年以上のキャリアを持つ医師たちが自信満々に下した診断のうち、何と、33%が誤診だったのです。そして、キャリアが2、3年の医師に至っては、自信を持って下した診断の41%が誤った診断だったのです。

人が行う判断は、過去の経験則や蓄積された知識によるところが大きいものです。しかし、「確証バイアス」という心の動きがあるとき、間違いに陥りやすいことを忘れてはなりません。