第61回 不毛な怒りの静め方(アンガーコントロール)
「怒る」という感情が抑えきれず他人に厳しい言葉を吐いて、人格を傷つけてしまった経験を持つ人は少なくないでしょう。もし、この「不毛な怒り」を抑えることができれば、良い人間関係を築くことができます。
怒りというのは、多くの体験を通じて怒りという感情につながる“配線”、つまり怒りの感情プロセスが構築されるのだといいます。米国のテネシー州立女子刑務所で女囚を対象とした「アンガーコントロール」のワークショップでの成果が明らかになっています。
このワークショップでは女囚たちに対し、「怒りの配線(スイッチ)」を見つけさせるため、呼吸の仕方、体の緊張の解き方など、様々な方法を使えるようになるよう訓練しました。その中でも一番大事なのは、「自分がどのようにして“キレてしまう”のか、その“キレ方(スイッチ)”を知ること」であるといいます。それが分かれば、自分でスイッチを操って自分の感情をコントロールすることができるようになるからです。
ワークショップとして女囚には毎日、次のような感情に関する記録をつけさせました。
「自分の中に怒りが込み上げたのはいつだったか」 「何が引き金だったか」 「何を自分は思ったか」 「その時どんな行動に出たか」
これを毎日続けたことによって、多くの女囚たちは自分を客観視し、怒りのスイッチが入るプロセスを知り、怒りの感情をコントロールすることができるようになったといいます。
日本のある企業での実例です。ある役員は、言い訳をする部下が嫌いで、言い訳をしそうな部下の顔を見ただけで、息が浅くなり、血が頭に上ってしまいます。そして頭の中でこんな言葉が流れるそうです。「バカヤロー!許さんぞ」。そして、激しく怒るのです。
こうしたプロセスを分析したことによって、彼は怒りのスイッチがどのプロセスで入るかを知ることができたのです。彼の場合は、「部下が言い訳しそうな表情や態度を見た時」でしたが、その瞬間に最適な反応の仕方を自分に命じることができるようになったのだといいます。
それ以来、彼は、言い訳しそうな部下の顔を見たら「許さんぞ!」という「宣言」の代わりに、「どうすればこの部下を指導できるだろうか?」という問いを自分に与えることにしました。そして、怒りの爆発は、ほどなくして影を潜めるようになったといいます。
では、怒りを抑える簡単な方法を3つ紹介しましょう。
●10秒待つ
怒りのピークは長く続かないとされます。反射的に言い返す前に、心の中で「1、2、3……6」と数え、ひと呼吸置きます。これだけで、余計な一言を防ぎやすくなります。
●深呼吸する
怒ると呼吸が浅くなり、体も緊張します。鼻からゆっくり吸い、口から長く吐く呼吸を数回行うと、気持ちを落ち着けやすくなります。
●その場をいったん離れる
怒りが強い時は、その場で解決しようとしないことも大切です。「少し考えます」「後で話します」と伝えて席を外すだけでも、感情的な衝突を避けられます。
