第64回 「新近効果」と「親近効果」
1.「新近効果」
アメリカの心理学者N・H・アンダーソンは、実際にあったある事件を素材に模擬裁判を行い、証言の与え方によって陪審員の判断がどのように変わるかを実験しました。
証言は、弁護側に6つ、検事側に6つと対等にし、特定の証言だけが目立たないよう、長さはすべて統一して文書にされました。
そして、まず一方の側の証言を2つ出し、次に他方の側の証言を2つ出すという方式で証言を与えました。陪審員は、どのような結論を下したのでしょうか。
彼らは、最後に示された証言の側に有利な結論を下したのです。
次に、一方の側の証言を6つ続けてから、他方の側の証言を6つ出すという方式をとりました。この場合でも、やはり最後の証言が正しいとの判断傾きました。これは、心理学でいう「新近効果」です。つまり、人は異なった情報源からさまざまな情報を与えられると、そのうち最後に与えられた情報にもっとも大きく左右されるというものです。
2.「親近効果」
アメリカの心理学者カーンは、男女のグループに話し合いをさせた後で、相手に対する好意度を調べました。
話し合いは、たとえば1人の男性が、50センチメートル離れたところに座っている女性と、2.4メートル離れたところに座っている女性と同時に話をするように設定されました。女性は2人ともサクラです。
これは、男性が近くにいる女性と遠くにいる女性を相手に話した場合、どちらに好感をもつかを調べる実験です。また、この逆の設定でも実験が行われました。
その結果、男性は自分の近くにいた女性のほうを好み、女性も近くにいた男性に好感をもったことがわかりました。
親しくなりたければ、距離を縮めることが有効なのですね。
