読むサプリ第68回 企業とCEOの評価(ハロー効果と結果バイアス)
成功した企業を体系的に検証し、経営の規範を導き出そうとするビジネス書は数多くあります。
この種の本が伝えるメッセージは、「よい経営手法は学ぶことができ、その手法を実践すればよい結果につながる」というものです。しかし、多かれ少なかれ成功した企業同士を比較することは、言い換えれば、多かれ少なかれ運にも恵まれた企業同士を比較しているにすぎないと、ダニエル・カーネマン(心理学者としてノーベル経済学賞を初めて受賞)は述べています。
ジェームズ・C・コリンズとジェリー・ポラスの『ビジョナリー・カンパニー』で調査対象となった卓越した企業と、そうでない企業との収益性や株式リターンの差は、調査期間終了後には縮小し、ほぼゼロに近づいていました。また、『フォーチュン』誌の「最も賞賛される企業」に選ばれた企業を25年間追跡した調査では、当初は下位に位置していた企業の株式リターンが、最も賞賛された企業を上回ったという報告もあります。
それでは、私たち読者はなぜ成功企業を取り上げたビジネス書に魅力を感じるのでしょうか。
スイスの経営学者フィリップ・ローゼンツヴァイクは、多くのビジネス書がリーダーの個性や経営手法が業績に与える影響を必要以上に強調しており、読者には「ハロー効果」や「結果バイアス」が働くためだと説明しています。
「ハロー効果」とは、同じ人物が同じ行動をしていても、物事がうまくいっているときには高く評価し、逆にうまくいかなくなると低く評価してしまう心理的傾向のことです。さらに、この効果が働くと、私たちはそこに因果関係を見いだそうとします。
例えば、「CEOの意思が強いから会社は卓越した業績を維持できた」と考えがちです。こうして原因を理解したような気になりますが、実際には会社が優れた業績を上げたからこそ、CEOが優秀に見えている場合も少なくありません。これが「結果バイアス」です。
